もう聞きすぎて耳にタコができそうなので俺は8月4日のクラス会の参加者をメモした紙を見る。あれ、45人…。
その数字に違和感を感じた俺は教室を見ながらクラスの人数を数えていく。
が、何度数えても46。誰か名前言ってない?
俺はメモを見ながら顔を当てはめて参加しない独りを探した。
「あ、」
…森川だ。森川を見る。
目ギリギリまである長い前髪に真っ黒な髪の毛を1つにまとめている。
制服は校則通りに着こなしきっちりしている。
そしていつも下を向いている。
誰も森川の素顔を見たことがない。
彼女の声を聞いたことがない。
話しかけてもいつも答えてくれない。恥ずかしがりやなのかなと俺は思ってる。
そんな彼女が少し気になる。
きょう海、誘ってみようかな。
せっかくだから森川にも来てもらいたい。
森川が昔、よく一緒に遊んでいて、俺の初恋だった女のコと重なるからなのかどうしてもほおって置けない。