助けて欲しかった。
けど優くんはここにいない。
人と人との間をすり抜けて走っていく。
やはり街中の人たちはあたしたちを不思議そうに見てくる。
見てるだけなら助けてよ…。
迫る、先輩。
走るのがあまり好きじゃない。
長距離より短距離の方が好きだ。
息を切らして一生懸命走るが、体力の限界が見えた。
「百合!!待てったら!」
その瞬間、先輩に腕を掴まれて動きを止められた。
持久走は先輩に勝てない。
さすがバスケ部のキャプテンね。
「滝川先輩、やめて!!」
「何でだよ!!」
何でって分かるでしょう?
あたしの気持ち、分かってるくせに。
強くなる先輩の力。
「もう無理だから」
あたしは先輩のところになんか戻らない。
「意味わかんねぇ」
眉間に皺を寄せて、怒りを露にする先輩。
ピアスが太陽にきらりと反射する。
もう逃げられないのかな。
「ちょっとやめろよ」
その時、あなたがあたしを救ってくれました。
この時、優くんが無敵のヒーローのように輝いて見えた…