…授業が終わり、今日は部活がないため、素直に帰宅することにした。



「沙紀、バイバイ!」



沙紀に手をふって、教室をあとにする。
下駄箱で靴を履き替え、グラウンドを歩いていく。



そんな時、目の前を転がっていくサッカーボール。
目でそれを追って、辺りを見渡す。




「あ!ごめんなさい!」


遠くから聞こえる声。
声が聞こえてきた方へ顔を向けると、そこにはユニフォームを着た、少年が立っていた。
小麦色の肌に黒い髪。
まだ表情が幼いからきっと一年生だろう。



「えっと…」



「蹴ってくれます?」



サッカーボールを蹴る?そりゃあサッカーは蹴る競技だけれど。
あたし…スカートだし…

悩んだ末、あたしはサッカーボールを手に持ち、彼のいる所まで運んでいった。



近くで見ると、意外と背が高かった。
優くんと同じくらいかな?
笑った顔もどことなく似ていた。