そんな我が儘聞いてはくれないよね。
我慢をしよう。
電話ができただけで十分。
「じゃあね…バイバイ!」
最後は元気よく。
…笑顔で。
ゆっくりと携帯を耳から離していく。
そして…電話を切った。
待ち受け画面が映し出される携帯電話。
その瞬間、さっきのことが夢に思えた。
けれど着信履歴には知らない番号。
080から始まる11桁の番号がある。
これは優くんの電話番号。
夢じゃないと語ってくれている。
あたしはアドレス帳にすぐこれを登録し、優くん宛にメールを作成した。
お礼を言わなくちゃね。
《電話ありがとう(*^o^*)嬉しかったよ♪》
ねぇ、本当に本当に嬉しかったんだよ。
優くんとの距離が縮まるのが見えた気がしたの。
嬉しかったから、近づきたかったから、あたしは先輩の存在を優くんには知られたくなかった。
こんなの、ただの我が儘にすぎないよね。