怖いという恐怖が襲う。
「誰?」
痺れを切らしたあたしはついにこう尋ねてしまう。
すると、聞こえてきた声は…愛しき声。
『あっ…俺。優…です』
まさかあなたから電話がくるなんて思わなかった。
驚いたあたしは、その場に座り込んでしまう。
力が入らない。
体に熱が帯びていく。
「鈴木くん?どうしたの?」
『えっと、謝りたくて…』
謝る?
優くんはあたしに何かしただろうか。
「えっ?」
『百合…ごめんな』
「………」
言葉が浮かんでこない。何で?どうして?
頭がパニック状態になる。
『俺…百合を傷つけたのかもしれない。本当にごめん。…許してくれる?』
そんなに謝らないで。
優くんは何も悪くないよ。
あたしが勝手に泣いていただけ。
だから謝らなくていいから…
もう一度『百合』って呼んで…。