絶対そんなの嫌だ。
優くんに綺麗な手で触れることができなくなる。
自分が汚れてしまう。



「…無理です!!」



「ふーん。」



そう言って、先輩はあたしに一歩、また一歩と近づいてきた。
1メートルの距離がわずか10センチほどになる。


そして先輩はあたしの頭をぽんっと触った。
その瞬間、びくりと体が動き、反射的に目を閉じてしまう。


ゆっくりと目を開け、先輩を見上げると、笑顔を向けていた。
その笑顔が怪しくて、背筋がぞっとしてしまう。


「俺はお前が幸せになるなんて許さないからな?今日はここまで。じゃあ、またな」




『またな』ということは、またあるということ。
…怖い。
ほら、こんなにも体が震えている。



あたしは幸せになってはいけないの?
誰もが望むこと。
それは『幸せ』

あたしは優くんと幸せになりたいのに…

叶わないの?