出逢って間もないけれど、気持ちは最高潮に達している。
『どこが好きになったの?』と言われたら、沢山答えられるよ。
最初は、外見に惚れたと言っても間違いはない。けど優くんに近づいていくにつれ、外見だけではなく、内面、声、性格、全てを好きになっていった。
自分だけのモノにしたいと強く思うようになった。
優くんだけを見つめたくて先輩ともさよならをした。
けれどあたしたちの距離は縮まることもなく離れていく一方。
だがこの日の夜、運命が少しだけ動いた。
学校が終わり、あたしはいつものように部活を見学したあと、帰宅をした。
途中書店に寄り、文庫本を一冊購入をし、再び家へと向かう。
下を向いて今日のことを思い出していたら、前から誰かがあたしを呼んだ。
「なぁ、百合。お前の好きな人って誰だよ?」
優くん、どうして自分の気持ちは伝えなきゃ届かないのかな。