振り絞る声。
沙紀はすぐに理解をしてくれた。
倒れてしまいそうなくらい、ダメージを受けている。
「もう…あたし…ダメみたい…」
「百合…」
沙紀があたしの体を支えて、斉藤くんのところまで歩いていく。
この世界から消えてしまいたい。
優くんを好きだからこそ、そう思った。
嫉妬で狂いそうだったから、そう願った。
「俺の席に座れよ。」
そう言って斉藤くんはあたしに席を譲ってくれた。
ぽたりと落ちていく涙。
涙は水溜まりのように跡を残していく。
「…俺が引き止めれば良かったんだな…」
「歩…」
斉藤くん、自分を責めないで。
無理に行ったのはあたしの方。
だからそんな言葉で自分を責めないで。
全て、あたしが悪い。
そんな時、後ろから声が聞こえてきた。
この声は…。
「歩…どうしたんだよ?」
それは、愛しいあなたの声。