魅力的な人だもの。
笑うと歯並びのいい歯がちらりと見える。
薄くて桜色の唇が白い彼女の肌によく栄える。
容姿端麗。
まさにこの言葉が彼女にぴったりだ。
自然に零れていく涙。
あたしはいつからこんなにも涙もろくなったのだろう。
優くんに恋をしたときからかな。
泣けばいいじゃない。
辛いなら泣けばいい。
無理に自分を作らなくてもいい。
泣くことなんて恥ずかしくもなんともないから。
…歪む視界。
ふらつく足取り。
空っぽになった心を抱いて、再び教室に戻る。
涙が止まらない。
止まってくれない。
拭くものも、何もない。
だから流れ落ちるだけ。
「…百合!!」
あたしの存在に気付いた沙紀が心配した口調でこう言って駆け寄ってきた。
ずたぼろの心。
誰かに切り裂かれたようだ。
「…鈴木くん…相沢さんと一緒だった…」