世界が変わってから、もう何年ここにいるのだろう。
時計すらないこの世界。あるのは優くんの笑顔と、ペアリングと瞳からもらったブレスレットだけ。



みんな…何してるのかな…。





あたしは今でも優くんに愛を叫んでいる。



優くん、あたしの夢を叶えてくれてありがとう。もしかして知っていたの?
あたしの夢。
斉藤くんから聞いちゃった?




「ねぇ…優くん…何か言って?」



映し出された優くんの姿にこう呟くけれど返事はない。




優くんを見上げて、まだ鮮明に残っている想い出を振り返る。



逢いたい…。





今、優くんは何をしているのかな…。




いつ逢えるのだろう。
あたしはいつまで一人ぼっちなのかな。




そんな時…確かに聞こえた。




「…百合…」





あの人の声…





「…また空耳?もう嫌になっちゃう。いるわけもないのに…」




「百合…百合…」




でも聞こえる。



まさかそんなはずない…



優くんがいるはずないよ…。