「ごめんね…、今から行くところがあるの。」
「じゃあ俺も行く!!」
優くんが笑ってくれると嬉しい。
でもごめんね。
優くんには知られたくないの。
これは一人でやりたいことだから。
「一人で行きたいんだ…ごめんね…また連絡するね。」
明日で最後だというのに、最低なあたし。
あたしはカバンをぎゅっと握り、優くんから離れて行った。
優くんの顔を見ると苦しくなる。
きっと今、悲しい表情をしているに違いない。
本当にごめんね。
涙を堪えながら、廊下を歩いていく。
「ゆーり!」
すると前から声が聞こえてきた。
顔を上げると、瞳の姿があった。
手を振って、こちらに近づいてくる。
人間はやはり一人では生きていけないようだ。
「ひと…み」
「なーに泣きそうな顔してんのぉ?百合に渡したいものがあるの」
そう言って、瞳は自分の腕からあるブレスレットを取った。