ねぇ、優くん。
聞こえているよ。
あなたの声…。
秘密の場所からよく話しかけてくれたよね。
空に向かって…。
涙を流し、手紙を書いたあたし。
その手紙の内容は、真実が書いてある。
あなたはこれを読んで、あたしを思い出してくれますか。
この手紙は明日出しに行こう。
もうこんな時間じゃ、博物館は開いていないから。
この日見た夢は、優くんとの今までの想い出だった。
懐かしさを感じながら、心地よく眠った。
そして翌日。
カナダに旅立つ前日。
学校に行くのもしばらくお休み。
優くんの笑顔も、斉藤くんの冗談も、沙紀の手作りのお菓子も、しばらく触れられなくなる。
やっぱり、寂しいな。
帰りのホームルーム。
鮮やかなオレンジ色の教室にいられる時間も残りわずか。
もう、学校が終わってしまう。
ちらっと優くんを見ると、無表情のまま前を見ていた。
優くんは、寂しいですか?