「百合は…さ…俺と離れて平気なの?つらくないの?」
「つらいよ…だから、まだ言わなかったの。優くんが反対するんじゃないかって…」
優くんの声が震えていた。
あたしの手を握る温かさが引いていくのが分かった。
突然、こんな大きな壁にぶち当たって、それを登っていく力はあたしたちにはまだなかった。
だって、あたしたちはまだ17歳という子供だから。
結婚すらできないし、親がいなくては生きていけない。
でも…でもね、
優くんに『頑張れ』って言って欲しかった…。
大事なら、愛しているのなら、背中を押して欲しかった。
「百合なんかどこへでも行けばいい…」
すると優くんはあたしの手を振りほどき、去って行った。
暗い街の中、あたしを置き去りにして…。
さっきまで温かかった手は一瞬にして冷める。
あたしたちの恋は、こんなすぐに冷めないよね。