このままうまくいけば、今月の下旬に飛び立てると先生は言ってくれた。


ちらりと優くんを見ると抜け殻のようになっていた。
手を揺さぶっても反応をしてくれない。

そんな優くんを見ることができない。
悲しさが込み上げてくる。

反対するよね。

やはりあたしたちは離れなくちゃいけない運命なのかな。

ちらつく、別れ。



「百合…何で早く言ってくれなかったの?」



どくんと心臓が揺れる。
もし、付き合う前に言っていたら、優くんはあたしを選んでくれなかったでしょ?
居なくなるあたしを、もう一度愛してはくれなかったでしょ?



留学の夢より、あたしは優くんを一番最初に手に入れたかったから、言えなかった。



「まだ…決まってないから、先生の許可が必要なの。今会議中なんですって。だからまだ、いいかなって…」



そう言って優くんを納得しようとする。
でも優くんは正当な答えを返してきた。



間違っていないよ、優くん。