空には鮮やかな月と星。今日も元気に輝いている。
綺麗だね、と心の中で言うと、きらりと反応をしてくれる。
あたしの声、届いているのかな。
「ごめん!!百合、待った?」
すると聞こえてきた優くんの声。
ほら、やっぱりあなたはいた。
信じて待っていて良かった。
あなたはあたしを置いてどこにも行かないよね。
あたしと違って…。
「ううん!今終わったとこ。優くんどこにもいないんだもん~帰ったのかと思った!」
わざと拗ねてみると、優くんは優しく頭を撫でて、携帯を見せてきた。
突然何だろう?と思い携帯を見る。
「あ~ごめんね。これ撮ってたんだ」
液晶画面に映し出されていた写真は、一瞬であたしの心を奪ったのだ。
「うわ~!キレイ…」
高い場所から撮ったのか、街全体が映っていて、それを優しくオレンジ色の夕陽が包んでいた。