余韻に浸っていると、カバンの中に入っていた携帯が震え出した。
びくりと体が反応し、携帯を取り出す。
「…瞳?」
液晶に映し出されていた名前は、懐かしさを与える。
あたしの親友の名前。
あたしは携帯を耳に当てて、声を聞いた。
『もしもーし!百合?瞳だよ!もー水くさいじゃん!優くんとやり直したんだって?さっきたまたま優くんに会って聞いたよ!』
元気な瞳の声が耳の中に入ってくる。
実はまだ瞳には言っていなかった。
瞳はバスケ部のキャプテンになったし、忙しくてあたしの話なんか聞くヒマなどないと思っていたから。
「うん!瞳、忙しいかなぁって思っててなかなか言えなかったの。ごめんね」
『百合の話ならいつでも聞くって!でも良かったね!諦めないで頑張ったからだよ!』
あたしだけの力じゃないよ。
瞳のおかげだよ。
いつもそばにいてくれたから。
「瞳のおかげだよ。本当にありがとう。」
『照れるって!私もそろそろ好きな人見つけなきゃなー』
「その時は相談のるからね!」
たくさん恋をしよう。
あたしたちはまだまだ幼い子供だから。
胸の張れる恋を…。
あたしはあなたと一緒に…。