だから広瀬さんが好きだったこの詩集も好きになりたいの。
「ごめん…不安になった?」
「大丈夫!どの詩が好きなの?」
「今読んでいるのは、これだよ」
こう言って、あるページの詩を見せてきた優くん。
あたしはそれを黙読していく。
タイトルは《芽》
《芽は水を欲しがる
僕は君を欲しがる
芽は水を蓄えれば成長するだろう
僕は君を蓄えれば成長するだろう
芽はいつか必ずキレイな華を咲かすだろう
僕はいつか必ず立派な人間になるだろう
それまで僕のそばにいて》
読み終わったあと、涙腺がゆるんだのが分かった。
あたしは、あなたを必要としています。
「…すごく…不思議な気持ち…」
「でも俺好きだよ」
優くんに詩集を渡して、小さく微笑む。
「うん、あたしもいい詩だと思うよ…」
すると優くんは突然真剣な表情をこちらに向けた。
どくんと揺れる鼓動。
「百合の必要とする人は誰?」