このまま寝てしまいそうになる。



世界が変わる。
あたしは優くんの匂いの中で眠ってしまった。




「ん~。…あれぇ?寝ちゃってた?」




「おはよ、よく寝てたね?」


目を開けると、部屋の電気が明るくて、数回瞬きをする。
空はもう暗くなっていた。
どうやら本当に寝てしまったようだ。


優くんはベッドに凭れ掛かり、何かを読んでいた。



「ごめんね!ん?何読んでるの?」



後ろからひょこっと顔を出す。




「ん?詩集」




優くんはそう言って、表紙を見せてくれた。

《涙あふれる詩集》


タイトルから見えてくる中身。


この詩を読んだらあたしは泣いてしまうだろう。



「優くん詩集読むの?」


そう聞いて、あたしはベッドから下りる。
肩を並べて、顔を見上げながら答えを待った。



「うん…ナナが好きだった詩集なんだ」




「そうなんだ…」




聞いた途端、気持ちがどんよりとする。
不安になっても仕方ない。



あたしは優くんが好きなもの、全て好きになりたい。