部屋に入ると、香水の匂いで溢れていた。
あたしの大好きな匂い。
体全身、優くんに包まれているような錯覚に陥る。
「優くんの部屋、久しぶりに入るー!」
「適当に座ってて。俺、何か持ってくる」
「ありがと!」
そう言って、部屋にあたしを一人にさせた。
見渡す優くんの部屋。
やばい、優くんに酔いそうになる。
この部屋に広瀬さんは入ったのかな?
何をしたのかな?
考えれば考えるほど填まっていく。
大きな穴に…。
ベッドに座り、気持ちを落ち着かせる。
「やめよ…」
考えるだけ無駄だよね。
その時、優くんがドアから顔を覗かせた。
「何にもなかったから今からコンビニ行ってくる。待ってて?」
それだけ言って、ドアを閉めて、家から出て行った優くん。
大きな家に残されるあたし。
ゆっくりと体を倒して、ベッドに寝転んだ。
自然に閉じていく瞳。
なんか…気持ちがいい。