「小林!」




目の前にはあの人の姿。あたしと優くんに勇気をくれた人。



「安里…くん」



近づいてくる安里くん。もう知ってるかな?
あたしたちがやり直したってこと。



「聞いたよ、優から。やり直すことにしたんだって?」



変わらないあの笑顔。
焼けた肌にちらりと見える白い歯。
風で揺れる黒い髪。
緩んだネクタイから見える筋肉。

何も変わっていなかった。



「うん…。やり直すことにしたの。安里くん、本当にありがとう!!」



安里くんが見守ってくれていたから、あたしは前に進むことが出来たんだよ。
あの夏祭りの日、言ったよね?
自分で涙を拭けるくらい強くなれって。


あたしはもう一人で拭けるよ。




「俺のおかげじゃないよ。小林が頑張ったからだろ?あとさ、その笑った顔、すげぇいいよ」




幸せを与えてくれた安里くんにも幸せになって欲しい。




この世界の人々に。





《幸せになります》



そうやって力強く言えるように、人を愛してください。



あたしは強く言えます。


優くんと必ず幸せになります。




必ず、必ず…。