そんなすぐに動くわけないよね。
抱きしめられただけで十分だよ。
でも、運命は少しずつ動き始めていた。
授業が終わり部活に向かう。
夕暮れ時にボールを必死に追いかける。
ミスをできるだけしないように、ラケットで操る。
あと少ししか部活ができないから、今悔いのないように一生懸命練習したい。
「今日調子いいね!」
ペアの子が笑いながら、こう言った。
「そうかなぁ…」
あたしはその言葉に自信がつく。
もう後ろ向きには考えない。
昔の泣いてばかりの自分とはお別れ。
新しい自分と生活していく。
…太陽が沈んでいき、夜空に変わる。
星や月が眠たい顔をして輝き始める。
まるで仕事にいきたくないようなサラリーマンのよう。
でもこれがあなたたちの仕事なのだから。
あたしはその輝きで励まされているんだよ。