小さく微笑み、トイレをあとにする。
モヤモヤした気持ちが広がる。
何だろう、この気持ち。
広瀬さんを見た瞬間、憎いたらしい気持ちは芽生えずに、ただ羨ましいという気持ちだけが残った。
羨ましいよ、あなたが。
唇を軽く噛んで教室に向かう。
教室に着いた頃、チャイムが鳴った。
小走りで中に入り席に座る。
あたしの席は二年前と変わらないあの席。
真ん中の列の前から四番目だ。
視界に映る優くんの後ろ姿。
髪の毛の色がだいぶ落ち着いたね。
今は明るい茶色になっていた。
座る時すごく緊張したのを覚えている。
優くんの前には斉藤くん。
そういえば沙紀も同じだった。
二年前と何も変わらないスタート。
でも気持ちは違っていた。
あたしは優くんを好きだけれど、優くんはあたしを好きではない。
でもね、やっぱりあたしは優くんの隣が落ち着くの。
見つけた、あたしの特等席。