泣かないって決めたはずなのに、無理だった。
意思が弱いな、自分。


ホテルの光が眩しい。
急いで涙を拭く。
さっきのことは忘れよう。
自分の心の中にしまっておこう。


やはり沖縄の旅は楽しめないようだ。



「百合?やっと発見した!」



この声に反応をし、顔を見上げる。
そこには心配した様子をした瞳がいた。



「瞳?どうかしたの?」



「どうかしたのじゃないよ!ちっとも帰ってこないから心配したじゃん!」



そう言って、瞳はあたしの肩にそっと触れた。
さっきのことでもう体も心もボロボロだった。
だから触れられた瞬間、安心したのか、止めたはずの涙がまた溢れてきたのだ。



「ご、ご…めん…」



「百合!?どうしたの!?何かあった?」




弱った体を支え、頭を撫でてくれる瞳。




優くん…
あなたは広瀬さんにあの笑顔を向けるのですか?

あたしだけに向けて欲しい笑顔を広瀬さんに…



あたしは耐えられないよ。