満天の星空を見上げて願い事をひとつ言った。
何だかすっきりした気分だ。
あとは信じて待つだけ。
叶うよね、きっと。
叶わないって思ってしまったら、願いはその瞬間儚く消えてしまう。
だから叶うと信じるのだ。
でも…数分後、希望の光は失われた。
そしてこの想いも儚く散ったのだった…。
神様は試練を与えたのだ。
このあたしに…。
「戻ろっかな!」
夜空に向かって笑顔を見せて、ホテルに戻ることにした。
広がる海に背中を向けて、足を動かす。
真っ暗な世界。
一筋の月明かりが頼りだ。
潮風が、あたしの髪の毛を揺らす。
足元に注意をして歩いていたとき、どこからか声が聞こえてきた。
「え?」
周りには誰もいないはず。
暗くて分からないだけかな。
無意識に月を見る。
その次の瞬間、見てしまったのだ。
肩を並べて、海を見つめる二人の影を…。
できれば、見たくなかった…。