空港内に広がる笑い声。みんなのテンションが高いと肌で感じた。
やはり沖縄に行くというのだからテンションが上がっても仕方ないか。
トイレは離れた場所にあった。
看板を見て場所を確認する。
その時、あたしは見てしまったのだ。
キョロキョロと辺りを見渡す、優くんの姿を。
落ち着いていた鼓動が急に激しく動き出す。
息が乱れる。
今日もかっこいい。
きっと明日も。
あたしは緊張を抑えて優くんに近づく。
気づいて…あたしに…。
遠くから聞こえてくる斉藤くんの声。
それに反応する優くん。
どうか…
あたしを見て、可愛いと思って…。
この願いは、儚く散ったのだ。
優くんはあたしなんかに気づくことなく、斉藤くんの方へと向かって行ったのだ。
そんな現実に押し潰されそうになる。
え、嘘でしょ?
なんで気づいてくれないの?
足を止め、振り返る。
優くんの背中を見て訴えても…あなたは一度も振り返らなかった…。