感じる距離感。
安里くんとの距離が遠く感じた。
ただ『小林』と呼ばれただけで、こんなにも遠い。
きっと安里くんは自分の中で整理をしているのだろう。
関係がなくなったら、名前で呼ばない。
整理がちゃんと出来る人間だからこうやって関係のなくなったあたしに声が掛けられるのだ。
やはり安里くんは大人だった。
『小林』と呼ばれたことに少し動揺が走ったが、あたしはそれを隠す。
「久しぶりだね。ちょっと用事があってここまで来たの。」
「顔に書いてあるよ?『優を見に来た』って」
顔を指差しながら、こう言った安里くん。
やはりバレているよう。
そんな分かりやすいかな?
「バレちゃった?隠してたつもりだったんだけどな…」
舌をだして、笑う。
さっきまで泣きそうだったけれど安里くんの笑顔を見たら、少しだけ元気になった。