感じてしまう。
自分と比べてしまう。



「…あたしなんかじゃ…無理だよね…」



負けている気がした。
広瀬さんは誰から見ても綺麗だし、ちらりと見える八重歯も魅力的だ。
そして見た感じ、性格も良さそう。



あたしなんか…
背は低いし、自分のことばかり考えてしまう。


優くんが追いかける理由も分かった気がした。


あたしは行き場のない気持ちを抱いて、二人から視線を反らす。


何度願っても、
何度答えを捜しても…



優くんはあたしのところには戻ってこないだろう…。



溢れ出す涙を堪えて、教室をあとにする。



泣きそう…
でも泣かない。


安里くんに言われた言葉を思い出す。




《自分で涙が拭けるくらい強くなれよ》




だからあたしは涙を流さない。
自分で拭けるように強くなるまで。




下を向いて、少し汚れた白い廊下を見る。


あたしは進むよ。
決められた道を。