もしかしたら、瞳はあたしに幻滅するかもしれない。
呆れて離れていくかもしれない。


だから言おうとしても言えなかった。



「そういえば、土屋くんとどう?上手くいってる?」



突然の質問に動揺が隠せない。
小さく「え…」と言葉を漏らす。



あたしはゆっくりと手をポケットの中に入れた。隠されているリング。
今でもあたしのお守りだ。
それをぎゅっと握り、決心をする。

ちゃんと言おう。
隠し事はやめよう。



「…じ、実はね…。最近別れたの。安里くんと…」


机を見ながら、瞳にこう言う。
瞳の顔を見ながらはさすがに言えなかった。



「え?本当に?」



瞳の声のトーンが下がっていく。
やはり幻滅した?
最低って分かってる。
でも嘘をこれ以上つきたくなかった。




「うん…。やっぱりあたしは優くんが好きだって気づいたの」