安里くんは幻滅するかもしれない。
憎まれたっていい。
恨まれたっていい。
でも素直にならなくちゃ、前には進めない。
すると安里くんは一歩あたしに近づいた。
殴られる…そう思った。
でも安里くんはあたしの頭に触れ、軽く撫でてくれたのだ。
「…薄々気づいていたよ。百合がまだ優を忘れていないって…」
「え…」
見上げると、悲しそうな表情を浮かべる安里くんがいた。
泣きたいはずなのに、あたしが泣いているから泣けないのかな。
安里くんを苦しめているのはこの、あたし。
「忘れてない?俺、告白した時に言ったじゃん。『好きじゃなくてもいいから付き合って』って。無理に付き合わしたのは俺だよ…。百合は悪くない…」
ナゼ、なぜ、何故?
何故あなたはそんなにも心が広いの?
こんな最低なあたしを許していいの?
殴ってよ、蹴ってよ、叩いてよ。
あたしに『酷い女』と言ってよ。