「ご…めんなさい。いきなり居なくなって。」



安里くんの顔を見て謝れなかった。
ちらつくの、優くんの顔が。



「すげぇ心配した。どうかした?」




あたしの気持ちは初めから決まっていたのかもしれない。
だけど怖くて逃げていただけ。
人をこれ以上傷つけたくなくて、自分の気持ちに嘘をついて、逃げた。


もう逃げたくない。
正直に生きたい。
一番大事な人を想っていたい。


だから、安里くん…。
あなたに謝らなきゃ。




「安里くん…やっぱり…あたし…安里くんと付き合えない…」



気持ちを吐き出すように。
苦しい心が少しでも楽になるように…。




「…え?」




「あたし…優くんが今でも好き…大好きなの。安里くんと手を繋いでいても優くんのことを考えてしまう…。あたし…最低だよね。でも…優くんが離れないの…!!」





優くんが握ってくれた手を握る。
この温もりを消したくない。



あたしの精一杯の気持ち。