「もし…もし。安里くん?」
『百合!?今どこにいんの!?捜してるんだけど見つからない!!』
安里くんは必死にあたしを捜してくれていた。
安里くんの走る音、息使いでそれが伝わってくる。
申し訳ない気持ちが溢れていく。
「駅で待ってる…話したいことがあるの…」
あたしはケジメをつけなくてはならない。
いつまでも甘えていてはダメだ。
子供じゃないんだし、もう17歳になったのだから。
駅は来たときより人はいなかった。
ベンチに座り、安里くんが来るのを待つ。
すると近づいてくる足音。
あたしはゆっくりと音が聞こえてくる方向に顔を向ける。
「百合!!」
その犯人は安里くんだった。
上着を脱いで、タンクトップになっていた。
この暑い中、あたしを一生懸命捜してくれていたのだろう。
また悪いという気持ちで押し潰される。