優くんとの会話をずっとしていたかった。
だからわざと会話を長くしようとする。
「ん?」
こう言って聞き返したり。
「こうやって隣同士で話すの」
「そうだね」
優くんは憶えていてくれた。
あたしの存在を。
忘れてはいなかった。
「百合は…ちゃんと前に進んでる?」
優くんの顔を見上げて、言葉の心理を求める。
前に…?
正直、進んでいない。
前に進もうとして、今日安里くんと祭りに出かけたけれど、やはり優くんを目で追っていた。
そして今も体があなたを求めている。
あたしは前になんか進んでいない。
まだ止まったままだ。
でも優くんを不安にさせたくない。
「前に…進んでるよ」
だからこう言ったのだ。不器用な恋はまたすれ違いを生む。
「そっか」
「鈴木くんは?」
進んでるよね?
今日の彼女とすごいお似合いだったから。