ずるい、ずるすぎる。
消えかかる蝋燭に、火を灯らせないで。
また燃え上がってしまう。
…ドーン。
遠くに聞こえる、花火が散った音。
喉に振動を与える。
歪む視界。
これは現実?
それとも夢の中?
目の前に額から汗を流し、心配した表情を浮かべる優くんがいた。
花火の光で彼を色っぽくさせる。
あたしの胸はまた苦しくなるのだ。
あなたはあたしの心が弱くなったときに助けてくれるよね。
だから忘れられないの。
だからまた、蝋燭に火がつくの。
「百合?どうかしたの?」
優くんが名前を呼んだ。呼んでくれたのはいつぶり?
それすら頭がパニックを起こし、分からなくなっていた。
名前を読んでくれたことが嬉しくて、違う意味の涙を流す。
さっきまでは悲しくて泣いていたのに、今では嬉しさの涙。
でも心配をかけたくない。
ほらだって、優くんはあの少女と一緒でしょ?