そして時は過ぎて、8月27日。
この日は、秋晴れのようだった。
夏はもう終わったかと思わせるくらい、秋の匂いがした。
「ねぇ、帯変じゃない?」
あたしは姿見の前で、こう言葉を呟く。
「変じゃないわよ!可愛い、可愛い!!」
隣では首を縦に振り、満面な笑みを浮かべるお母さんがいた。
姿見に映るあたしの表情は楽しそうではなかった。
祭りに行くと言っただけで、お母さんは自分が昔着ていた浴衣を取り出して、あたしに着させた。
白地に、ピンクの花が散りばめられている。
浴衣は可愛いけれど、気分が乗らない。
それは昨日から。
0時になった途端、気分が良くなくなった。
夢の中に去年のことが出てきたからかな。
もう迷いたくないのに、迷路へと引きずり込まれていく気がした。
「帯くるしぃ…」
「そのうち慣れるわよ!時間大丈夫なの?」