「…やっぱり無理かな…」



これが答え。
去年の27日はあなたが隣にいた日。
忘れたくなかった。
あの温もり、あのキス、あの言葉。
まだ余韻に浸っていたかった…。



『そっか…。ごめんな。無理矢理誘って。じゃあ、また連絡する』




安里くんはそう言って、電話を切った。
耳に流れ込む、儚き音。

その音はあたしを脱け殻にした。



「あたし…何言ってんだろ…」



ベッドにぽつんと座るあたしには魂がなかった。幽体離脱でもしてどこかに遊びに行ってるんだわ、きっと。



今の彼氏は安里くんなのに…
彼氏の好意を踏みにじって、過去にしがみついて。


自分の愚かさに腹が立った。
こんな最低な奴、恋をする資格なんてないわよ。



ベッドシーツを握って、声を殺して涙を流す。



悔しかったら、
寂しかったら、
何故気持ちを抑え込むのだろう。


言ってしまえば楽なのに、何故溜め込むのだろう。