優くんの誕生日で、もしダメだったら諦めようとしていたけれど、学校で優くんに会うと、やはり心臓がどくん…となるのだ。
好きという証拠が体から感じられる。
ずっと目で追ってしまう。
体育のときも、廊下ですれ違うときも。
でも優くんはあたしを見てくれなかった。
諦めたいけど、諦められない。
気持ちが交差する。
そんな時、沙紀から呼び出された。
誰もいない中庭で、肩を 並べてベンチに座る。
「百合、まだ鈴木くんのこと気になる?」
「…うん。まだ…好き」
小さく頷いて、自分の気持ちを言葉にする。
「諦めることはできない…よね。百合の顔見てたら分かるもん」
そう言って、あたしに微笑む沙紀。
その笑顔は優しさで溢れていた。
曇った空の隙間から太陽が顔を出す。
地上を照らしたいと、主張しているよう。
あたしの心も照らしてください。