知ってるよ。
あたしを突き放したのは優しさだって。
でもそんな優しさはいらないんだよ。
あたしはあなたが欲しいの。
優しさじゃなくて、あなたの全てが欲しい。
空っぽになる心。
どこかに消えてしまった気持ち。
優くんは勢いよくドアを開け、家の中へと入って行った。
ドアの閉まる音を聞いた瞬間、瞳から涙が落ちる。
我慢していた涙が一気に落ちていく。
「…優…くん…」
名前を呼んだら、もう一度来てくれると信じたけれど、優くんは現れなかった。
悲しさがあたしを苦しめる。
どうして、何で…と問いただしても答えは見つからない。
優くんが出した答えがこれだったのだ。
あたしはプレゼントに視線を移す。
意味のないプレゼントは、ただのガラクタに見えた。
この匂いに抱かれることを願っていたのに、もうあなたはこんなにも遠い …。