少しして、再び玄関のドアが開いた。
顔を上げて、確認する。そこには少し不機嫌な表情を浮かべた、優くんが立っていた。
冷たい風が吹き抜ける。あたしの背中を押してくれるように。
「………何か用?」
冷たい言葉。
聞いた瞬間悲しくなった。
「…久しぶりだね…今日、優くんの誕生日だからさ…プレゼントを持ってきたの」
勇気を出して、優くんに近づく。
そして震える手を差し出した。
プレゼントが微動している。
ぎゅっと目を閉じて、受け取るのを待った。
お願い…受け取って…。
けれど優くんから零れた言葉は切なさを与えた。
「…いらない」
悲しさが込み上げる。
「…もらって?」
優くんの顔を見上げて、もう一度言う。
お願い…もらって…
あたしからのプレゼント。
今日だけでいいから、我が儘を聞いてください…