サンタクロースの格好をして、さすがに渡すことは出来ないけれど気持ちはそれくらいの思いはある。
片手にプレゼントを持って街へと飛び出すのだ。
「百合、遅くならないようにね」
「はーい!行ってきます!」
黒のピンヒールブーツを履いて、外へ出る。
ピンヒールの音が道路に広がる。
その音を聞く度に嬉しさが増し、そして怖さも増した。
何か…怖い。
言葉に表せないけれど、不安が襲った。
「大丈夫…大丈夫…」
無理矢理落ち着かせようとする。
大丈夫、何もない。
今のあたしには、自分を信じることしか出来ない。
優くんの家へと目指す。電車でひとつ先の駅の近くだ。
あたしは優くんとの思い出を振り返りながら、移り変わる景色を眺めていた。
季節がまた変わる頃には、また優くんと笑い合えているかな…。