あたしが向かった場所。それは香水が並べられたウィンドウの前。
じっとウィンドウを見つめて悩むのだ。
綺麗な色をしたボトル。いい香りの香水。
少し鼻が痛い気がする。
でも優くんのため。
あたしがどうして香水を選んだ理由は、本当に単純な理由。
最初はピアスにしようかと思ったけど、やめた。
香水がいいって思ったの。
あたしが選んだ香水を優くんがつけて、その匂いに包まれたいって思った。
だから香水にしたの。
単純な理由でしょう?
笑ってもいいよ。
「何かお探しですか?」
すると店員さんがあたしに声をかけてきた。
戸惑うあたし。
洒落た場所で買い物など慣れていないからだ。
「香水を…プレゼントに…」
そう言うと、店員さんはある香水を指差した。
「これ、一番人気なんです。彼氏さんにあげられる人が多いですよ」
青と透明のボトル。
その匂いは男らしく、けれど甘い匂いがした。
プレゼントを選ぶ時だけは、優くんを彼氏だと思ってもいいかな?