「まだ…好きなようだね。顔にそう書いてある」


相沢さんはこう言って、にっこりと笑った。
その笑顔が優しさで溢れている。



「…あ、う…ん…。まだ好き…」




こくんと頷いて、笑顔を作る。
すると相沢さんはあたしに近づき、手を握ってきた。
あたたかい温もり。
久しぶりに人間の温もりに触れた気がする。



「え…?」



「12月27日は、優くんの誕生日なの。どうするかは小林さんの気持ち次第だよ。私は応援してる」



12月27日。
優くんが生まれた日。
あたしは知らなかった。誕生日を…。



「何故…あたしを応援してくれるの…?」



ライバルだったのに、何故背中を押してくれるのだろうか。
あたしだったらできない。


けど彼女はそうした。
きっと彼女の心が広いからだろう。



「優くんも小林さんも気持ちを溜めすぎだよ。すっきりしなくちゃね!」