久しぶりにその存在に気がつく。
サラサラなロングヘアーを一つに結び、バスケットボールを手に持つ、少女がいた。
彼女は、相沢瞳。


何故彼女に話しかけられたのだろうか。
頭の中が?マークで埋めつくされる。



「え?」



「ひとつ聞きたいことがあるの。何で優くんと別れたの?」



どこか寂しそうな表情を見せる。
あたしは返答に困る。
ひんやりとした空気があたしたちを包んだ。



「優くんに嘘ばかりついたから…かな」



自分で言った途端、涙が出そうになった。
まだ別れを受け入れていない証拠だ。



「そうなんだ…。あとひとついい?まだ優くんのこと好き?」



真っ直ぐな彼女の瞳。
思わず吸い込まれそうになる。



「あたしは…」



彼女はあたしにチャンスをくれた。
最後のチャンスを。



けど、そのチャンスは、雪のように儚く消えた。