「もうすぐクリスマスだね。」
空を見上げて、沙紀がこう言う。
そう、辺りはもう冬になっていた。
優くんと別れてから季節が変わっていた。
息を吐けば白い息がみえる。
もうそんな時期かと改めて思わせるのだ。
クリスマス。
この言葉に深く考えさせられる。
一緒に過ごすはずだったクリスマス。
もう楽しみは何もない。
「クリスマス…か。沙紀は斉藤くんと過ごすんでしょう?」
「うん!私の家で鍋パーティーかな。地味だけどね」
笑いながら、クリスマスのことを楽しそうに話す沙紀。
彼女が羨ましい、すごく。
「…あのね、沙紀。
あたし…まだ優くんが好きなの…」
誰かに気持ちを伝えたくて、口から零れ落ちた言葉たち。
あたしはぎゅっとスカートを握って沙紀の返事を待った。
「…そんなの知ってるよ。百合の顔見てたら分かるって!クリスマスがチャンスじゃない?」