遠くて届かなかったのだ。


「……本当に信じてもらえないの?」



さっきの言葉が信じられなくて、こう問う。



「百合には幸せになってほしい。俺以外にいい奴いると思う」



優くんの幸せを願っていたよ、あたしも。
いつまでも一緒が良かったから、壊れないように先輩の命令も聞いてきた。
未来予想図も描いて、結婚式のことも考えて、なのに…なのに…
どうして離れていってしまうの?



「百合は優くんじゃないとダメなんだよ…?」



泣くな、泣くな自分。
気持ちが伝わるまで泣いちゃダメだ。



「百合…やめて。何も言わないで。俺はもう迷いたくない」



優くんはきっと沢山悩んで考えたのだと思う。
その気持ちは十分に伝わってくるよ。


でも言葉が浮かんでこない。


あなたのいない未来を想像していなかったから。



「…………」




「百合…さよなら」




完全に何も考えられなくなる。
もう、心臓の音でさえ聞こえない。



嘘だと言ってよ…。



優くんはあるモノを置いて、あたしの隣から居なくなった。


それは光ることもなく、寂しそうに存在していた。


恋人の証。



それはもう二人は恋人ではないと示しているよう。



あたしはゆっくりと涙を流していく…。



さようなら…



今も愛している人…。