最初に口を開いたのは優くんだった。
久しぶりに聞く声。
愛しい人のボイス。
「百合、俺は百合が好きだったよ。本当に好きだった。百合はどうだったか知らないけど、俺は好きだった」
「あたしも」
小さく頷いて言う。
今も好きだよ、と心の中で囁く。
「でも俺は限界を越えていた。俺はもうボロボロになってた。百合はどうして嘘をついたの?百合はずるいんだよ…前にも言ったけど、百合はずるい」
ずるい…か。
そうだよね。
素直になれずに分かって欲しい人に何も言えなくて…
嘘をついた理由さえ言えないんだもん。
あたしは最低だよ…
でも…あたしは…
「百合の…一番は優くんだよ」
伝わって?
お願いだから。
ずっと隣に居させて。
「百合……別れよっか」
でも、心が遠かった。