今謝られてもいい気分になんかならない。
優くんは戻ってこないのだから。




けどここで先輩を責めたところで何になるのだろう。
謝られて、泣かれて、終わりなだけ。
だからあたしは何も言わず、その場から先に進もうとする。



「もう…いいですから」


「ちょっと待って!これだけ!これだけは受け取って!」


そう言ってあたしの手を掴み、あるモノを渡す。ゆっくりと視線を手のひらに向けると、そこには優くんとのペアリングがあった。

先輩に奪われたもの。
やっと返ってきた恋人の証。



「今更って思うかもしんないけど、どうしても渡したかった。俺のことは憎んでくれていい。本当にごめんな…」



少し震えた声で言葉を並べる先輩。



「もういいですよ。ありがとう…」



ぎゅっと手を握る。
泣いてしまいそうになる。
優くんとの恋人の証が戻ってきて本当に嬉しかった。



あたしの大事な宝物。



でも肝心なあなたはいない。