誰にも言えない秘密。
沙紀にも、斉藤くんにも…もちろん優くんにも。
あたしは頭を抱えて、ぎゅっと目を閉じる。
あのことを思い出すと吐き気がする。
思い出したくなくても、アザを見たら嫌でも思い出される。
「…い…やだ…」
昨日、先輩は無理矢理あたしを引きずり、部屋に閉じ込めた。
床へと投げつけて、思いきり蹴る。
そして殴る。
泣いてもやめてくれなくて、あたしは耐えるしかない。
そして気が済んだあと、ネクタイであたしの手をきつく絞め、体を衣服から解放するのだ。
抵抗できない自分に悔しさを覚える。
何度、心の中で『優くん』と叫んだだろうか。
あたしの声は届きませんか…?
「…やめ…て」
脳裏から離れてくれない。
息が苦しい。
体が痛いよ。
先輩の暴走はしばらく続いた…。