再び愛の深さを知ったあたしたちは、家に帰った。
優くんからはあの悲しそうな瞳は消えて、いつも通りに戻っていた。
安心する自分。
「百合…指輪は?」
優くんの一言である異変に気づく。
「え?あっない!!」
それは左手のペアリングだ。
「落としたの?」
「家を出た時はあったのに!」
確かにリングはあった、どこで落としたのだろう?
あたしの大事なペアリング。
無くなったなんて嫌だよ。
「…どうする?」
「探しに行くに決まってる!!」
優くんを捜しに行ったときに通ったルートを思い出しながら、もう一度その道を通る。
けれどそれらしいものは見つからない。
日が徐々に沈んでいく。空が青からオレンジへと色を変える。
「ない~、ないよぉ」
お願い、見つかって。
あたしの大事なものなの。
「…公園は?」
「行ってみよ!」
「うん」
あたしたちは公園へと場所を変えた。
息を乱しながら、公園をぐるりと見渡す。
その時、見えたのだ。
街灯の光に反射したあるものを。
「優くん、あった!良かったぁ~」
土を祓い、再び薬指にはめる。
戻ってきたペアリング。
あなたに最初にもらったプレゼント。
あたしの大切な宝物。
でもこの時から、あたしたちの恋は破滅へと近づいていた…。