腕が痛い。離して。



両腕を掴まれ、身動きできない状態となる。
真っ直ぐに先輩を見る。苦しそうな表情をしていた。




「は…なして!!」




「なぁ、これってお前の新しい彼氏?」



そう言って、あたしの携帯を手に持ち、見せてきた。
あれを…。
今日撮った想い出の品。

『ダブルデート』なんて落書きしなきゃ良かった。



「どうだっていいでしょ?」



「こいつってさ、この前会った奴だよな?だから余計腹が立つ」




涙が出そうになる。
温かくて苦しいものが込み上げてくる。

だけどここで泣きたくない。



「先輩は好きな人ができたら諦めるって言ったじゃないですか!」




「こいつに取られたなんて思うとムカつくんだよ!!負けたみたいで。だからお前を奪い返す。何をしてでも」




「お願い…優くんには何もしないで…」