部屋の電気を点ける。
明るくなる部屋。
花柄の壁紙が『おかえり』とあたしを包み込む。


「貸したもの?」



背後から聞こえる、先輩の低い声。
その瞬間、背中から勢いよく押され、ベッドへと飛び込んだ。
軋むスプリング。
状況が把握できない。
遠くで鍵がしまる音が聞こえてくる。


それと同士に『怖い』という恐怖があたしに流れ込んできた。




「貸したものって、お前のことだよ。百合…」



見上げると、無表情の先輩。
息が止まりそうだ。




「…なに…言ってるんですか…」




慌てて体を起こし、出来るだけ離れようとする。けれどベッドの大きさはセミダブル。
すぐに逃げ場を失うのだ。


近づいてくる先輩。
ぎし…という音が恐怖を与える。
まるでホラー映画のよう。



先輩が、くる。
あたしに近づいてくる。



そして、あたしの腕を掴み、強く押し倒した。